歴代高柳賞-歴代高柳研究奨励賞

H26年度(2014)高柳研究奨励賞受賞

香川 景一郎(かがわ けいいちろう)

【 静岡大学大学院工学研究科准教授 】

医用・バイオ応用に向けた
光・電子融合型カメラシステムおよびデバイスの開発

私が2001年より現在まで行つてきた医用向けCMOSイメージセンサおよびカメラシステム開発の成果について概要を示す。私は、奈良先端科学技術大学院大学の太田淳教授(現在)と共に、人工視覚デバイスの先駆的な研究を行つた。これは、後天的に視覚を失つた患者の網膜下に、撮像と電気刺激の機能をもつデバイスを埋め込み、視覚を回復するデバイスであり、外部から供給される限られた電力で動作することと、発熱による生体へのダメージを避けるごとが課題であつた。低電圧動作による低消費電力化とデジタル画像処理との適合性の良さから、光強度検出法としてパルス周波数変調とパルス幅変調方式を採用したデバイスを提案した。人工視覚デバイスにより鮮明な画像を提示するために、パルス領域で確率的にエッジ抽出・強調などの画像処理を行い、可変強度で電気刺激を行う画素並列イメージセンサを提案・実証した。当時一般的であつた3トランジスタ方式画素において、画素にドレーン接地アンプを適用することで、画素内の素子数を増やすことなく、当時世界最小の消費電力指標でパルス幅変訓を実現した。

その後、2008年より大阪大学谷田純教授と共に、光学系と電子処理を融合した複眼内視鏡を開発した。拡張被写界深度波面符号化レンズアレイを開発し、超解像処理と組み合わせることで、内視鏡に必要とされる深い被写界深度と共に3D撮影、狭波長帯域撮影を同時に実現する高性能・高機能内視鏡の基本技術を開発した。

2O11年より静岡大学川人祥二教授と共にパイオ応用に向けた新規CMOSイメージセンサと、顕微鏡システムなどの応用システムを開発し、成果を上げつつある。今後、複眼カメラを応用した小型高性能デジタルミラー、生体自家蛍光から単眼カラーカメラにより腫瘍部を画像化する手法など、電子・光デバイスと電子処理システムを融合した新しいイメージングデバイス及びイメージングシステムを開発してゆく。

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