H27年度(2015)高柳研究奨励賞受賞
【従来の研究成果の概要】
大学入試問題を解くというタスクは、潜在的に人工知能分野、特に情報と知識に関わる多様な問題を包含している。国立情報学研究所を中心とする「ロボットは東大に入れるか(東ロボ)プロジェクト」では最終的に東京大学に合格できる人工知能の作成を目標とし、まず大学入試センター試験の自動解答に挑戦している。
【社会科の自動解答器】
プロジェクトでは試験科目により異なる研究者が挑戦しており。私は前述の実験基盤を用いて社会科解答器構築を行っている。私の解答器は、質問文中に含まれるキーワードが、より多く、かつ排他的に出現する文章をみつけるアルゴリズムにより、既存システムを10ポイントも上回り世界最高の正答率を達成した。 2013年およ2014年に行われた代々木ゼミナール模試挑戦では、偏差値50を超え「人並み以上」に到達し全科目中最高の偏差値となった。これにより全科目でも多くの大学で合否A判定となり、NHKはじめ多くのメディアで報道された。
【今後の研究計画】
試験の自動解答は、試験解答そのものよりも、要素技術の研究とその到達点・不足点を洗い出すベンチマークが本来の目的である。現在、発展として医師国家試験(図2)および司法試験の自動解答に挑戦を始めており、これらを通じ医療診断支援システムや判決支援システムの基礎となる要素技術の研究を進める計画であるとともに、国際連携と推進を図るべくそれぞれ国際コンテスト型ワークショップのオーガナイザも務めている。