歴代高柳賞-歴代高柳研究奨励賞

H28年度(2016)高柳研究奨励賞受賞

本井 幸介(もとい こうすけ)

【 静岡理工科大学理工学部電気電子工学科講師 】

無拘束・無意識生体計測システムの開発と医療・福祉支援への応用

現在我が国では、医療費削減や健康で質の高い生活を営む期間の延伸をめざし、医療・介護施設におけるサービス充実はもちろんのこと、在宅における療養や介護・看護、日常的な健康管理などを行うホームケアも推進されている。この際、継続的な体調モニタリングが必要不可欠であるが、現状の計測機器はセンサ装着や機器操作が負担となり、十分な健康データが得られないことが大きな課蕗となっている。そこで本研究では、疾病の早期発見・長期観察を目指し、ユーザーに負担をかけない「いつでもどこでもヘルスケアチェック」が可能な計測・ネットワークシステムの開発と、その医学的有効性実証を目的としている。

これまでに、(1)身体に簡便に装着可能なウェアラブル慣性センサを開発し、これをヒトの体幹・大腿・下腿に装着し、姿勢変化や活動内容、さらには歩行速度を高精度で計測可能なシステムを開発し、脳卒中等によるリハビリ患者の療法効果評価に有用であることを実証した。次に、(2)センサ装着や機器操作を一切必要としない無意識型生体計測用センサ・計測システム、具体的には浴槽における心電図・呼吸計測システム、お風呂マット型事故検知システム、トイレにおける体重・排泄量・心弾動図・血圧計測システム、ベッドにおける脈拍・呼吸・体動計測システムを開発し、従来機器との比較より良好な計測精度を確証した。さらには、(3)各モニターシステムとICTを融合することにより、先進生体計測融合型ヘルスケアネットワークシステムを開発し、心不全患者や脊髄損傷患者における体調悪化の早期発見に有効であることが確認された。

今後はこれら技術のさらなる改良や新規生体計測法の開発、それらの医学的有効性の評価を行うと共に、早期の疾病自動診断技術の確立に向けたデータ解析法の開発を進めていく予定である。また現在はスポーツ支援への応用も進めており、さらなる技術応用を目指す。

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