歴代高柳賞-歴代高柳研究奨励賞

H30年度(2018)高柳研究奨励賞受賞

伊東 聡(いとう さう)

【 富山県立大学工学部 】

表面相互作用力検出型マイクロプローブの開発と二次元精密計測に関する研究

様々なデバイスや光学素子の性能はマイクロ/ナノスケール微細構造の形状精度によっても影響されるため、微細形状の超精密測定は品質管理の面において重要な課題である。近年では、微細加工技術の発展に伴い微細形状の三次元ナノ精度精密計測への要求は、よリー層高まっている。

本研究ではマイクロ微細構造の超精密三次元ナノ計測の達成を目的とし、表面相互作用力検出を用いた超高感度かつ低測定力なマイクロプローブに関する研究に取り組んできた。マイクロサイズの微小プローブを用いた三次元測定機はmicro-CMM(micro-Coordinate Measuring Ma-chine)と呼ばれ、国内外で研究開発が進められている。従来のmicro-CMMでは、nm領域まで接近させたプローブ先端・測定対象物表面間に作用するファンデルワールス力や表面水膜層メニスカスカ等の引力型相互作用力によるプローブ吸着に起因した計測誤差が課題であった。

本研究では、引力型相互作用力を接触点検出に積極的に利用することで高感度検出型マイクロプローブを開発した。マイクロプローブに加えた微小振動の変化から相互作用力を検出し、プローブと測定対象との接触検出に利用することでnmオーダの分解能と低測定力が実現された。さらに測定環境変化やカープ個体差による計測誤差を除去するために、計測機上におけるプローブ有効直径を評価する「その場校正法」を提案した。本研究の実用的な応用として、これまでに精密塗布工具寸法の精密測定を実施した。「その場校正法」の適用により、本研究のマイクロプローブは不確かさ50nm未満を達成できることが確認された。本研究の成果は4編の査読付き諭文、12件の国際会議査読付き講演論文として発表され、国内外において高く評価され、2016年日本機械学会奨励賞(研究)、2017年精密工学会研究奨励賞の表彰を受け、2件の国際会議招待溝演を行った。

今後の研究の展開として、全方位検出が可能なマイクロプローブに改良し、複雑形状に対して適用可能な三次元高感度検出型マイクロプローブとして発展させるとともに、マイクロプローブ先端形状の三次元超精密校正に関する研究にも取り組むことで、精密三次元ナノ計IWJを発展に貢献したいと考えている。

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