歴代高柳賞-歴代高柳研究奨励賞

H30年度(2018)高柳研究奨励賞受賞

本蔵 直樹(ほんくら なおき)

【 浜松医科大学医学部 】

高次高調波発生顕微鏡を用いた非侵襲生体計測の確立

哺乳動物を生きたまま観察することにより、分子生物学や生化学で行われてきた巨視的(マクロ)で非生理的な生物反応だけでなく、生理的な条件下において細かい時間・空間解像で生体反応を捉え、マクロ分子生物学のみでは解明できない重要な生理現象に主眼に置いて研究を行なってきた。特に早い生命反応をリアルタイムに提えるには、限られた手法しか存在しない。そのため自ら非線形光学顕微鏡を構築し、それと光プローブおよびケ―ジド試薬を組み合わせることで、神経科学において重要な、神経可塑性及び安定性に関する重要な事象を発見した。(Nature '04, Neuron'08, JNM '09)

また動物個体の生体深部を微細に観察するために、分子・細胞レベルの解像で画像取得できる新規非線形IR光学顕微鏡を世界に先駆けて構築し、非侵襲に生体組織表層から約1.5mm強の生体光深部観察が可能となった(脳、皮膚、腫瘍組織など、当時の世界記録)。またこの顕微鏡にオプトジェネティクスを組み合わせ、生きたマウスの単一皮質細胞の膜電位計測や、光操作による生体機能制御による個体レベルの行動変化の解析を行ってきた(JNM '09, Scientific Reports '13, CSF '13, etc.)。

さらに同時に高次高調波発生を用いることで、染色せずに血球系細胞を可視化できる方法諭も構築することができた。さらにそこで得られた画像を新規に開発した楕円ベクトル方程式を用いた画像解析を用いることで非侵襲に高時空間解像を伴って生体情報を提える方法論を確立した(Nature communications '16 & '18)。

この方法論を光尖端都市である浜松の地においてさらに発展するため、光検出器の高感度化、および多光子励超過程を組み合わせた色収差の発生しない多色同時観察を組み合わせることで、生理学研究において最も厄介な生体の免疫反応を回避し、真の生体反応を多次元(多色)で捉えることで、真の生体恒常性維持機構の解明を顕微鏡技術の向上とともに目指していく。

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