歴代高柳賞-歴代高柳研究奨励賞

R7年度(2025)高柳研究奨励賞受賞

阪東 勇輝(ばんどう ゆうき)

【 浜松医科大学 医学部 助教 】

光学的手法を用いた生体電気信号計測および操作技術の確立

私は、電子科学を応用した技術(レーザー、光電子増倍管、CMOSセンサ、パッチクランプ増幅器など)を用い、生体の電気シグナルの実態及びその生理機能の解明を目指し、研究を行ってきた。具体的には以下の研究を行ってきた。

  1. 蛍光膜電位プローブの開発とその応用(Bando et al., Cell Rep., 2019; Nat Commun., 2021)
  2. 空間光変調器と光遺伝学的手法を用いた、3次元の任意の神経細胞を光刺激する手法の開発と、光刺激による生体脳神経回路の再編成(Carrillo-Reid et al., Science, 2016; Yang et al., eLife, 2018)。
  3. 電気シグナルによる新規大脳皮質形成制御機構(Bando et al., Cereb. Cortex, 2016)

今後は、細胞内膜系、特にミトコンドリアに着目する。神経細胞はその機能を維持するために膨大なエネルギーを必要とする。うつ病などの精神疾患、自閉症等の発達障害及びアルツハイマー病などの神経変性疾患において脳内エネルギー代謝が低下することが報告されており、ミトコンドリアによる神経細胞・回路機能制御機構の解明は重要な課題である。ミトコンドリアは、電子伝達系を駆動してエネルギー産生を行うことから、ミトコンドリア膜電位動態を解析することでミトコンドリア機能を評価することが可能である。私はこれまでに、ミトコンドリア膜電位プローブ・mt-ArcLight-STを開発した。これまでに、mt-ArcLight-STがミトコンドリアに局在し、ミトコンドリア膜電位プローブとして機能することを示した。また、ミトコンドリア膜電位を操作する光遺伝学ツールを開発した。これらの光学的手法を用い、ミトコンドリア内の電子動態を評価し、生体内電子科学を推進する。そして、ミトコンドリア膜電位動態とその生理的機能を解明し、ミトコンドリアに着目した精神・神経疾患治療法開発を目指す。

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