R7年度(2025)高柳研究奨励賞受賞
私は、電子科学を応用した技術(レーザー、光電子増倍管、CMOSセンサ、パッチクランプ増幅器など)を用い、生体の電気シグナルの実態及びその生理機能の解明を目指し、研究を行ってきた。具体的には以下の研究を行ってきた。
今後は、細胞内膜系、特にミトコンドリアに着目する。神経細胞はその機能を維持するために膨大なエネルギーを必要とする。うつ病などの精神疾患、自閉症等の発達障害及びアルツハイマー病などの神経変性疾患において脳内エネルギー代謝が低下することが報告されており、ミトコンドリアによる神経細胞・回路機能制御機構の解明は重要な課題である。ミトコンドリアは、電子伝達系を駆動してエネルギー産生を行うことから、ミトコンドリア膜電位動態を解析することでミトコンドリア機能を評価することが可能である。私はこれまでに、ミトコンドリア膜電位プローブ・mt-ArcLight-STを開発した。これまでに、mt-ArcLight-STがミトコンドリアに局在し、ミトコンドリア膜電位プローブとして機能することを示した。また、ミトコンドリア膜電位を操作する光遺伝学ツールを開発した。これらの光学的手法を用い、ミトコンドリア内の電子動態を評価し、生体内電子科学を推進する。そして、ミトコンドリア膜電位動態とその生理的機能を解明し、ミトコンドリアに着目した精神・神経疾患治療法開発を目指す。