歴代高柳賞-歴代高柳記念賞

H20年度(2008)高柳記念賞受賞

三村 秀典(みむら ひでのり)

【 静岡大学電子工学研究所教授 】

ナノビジョンサイエンスの創成における研究

  1. 画像工学にナノテクノロジーを導入し、画素サイズをミクロン未満にするナノビジョンサイエンスを提案した。画素サイズをミクロン未満にしても利点がないという画像工学の常識を覆し、ナノビジョンサイエンスでは、見る人がその場にいるような、画像の場を作り出すディスプレイや、1個1個の電子・光子を制御し電子増倍を使わないフォトカウンティングイメージセンサなど、新概念のイメージング技術を創成できることを示した。
  2. ナノビジョンサイエンスは2004年、21世紀COE(卓越した研究拠点)に採択され、三村がリーダーを勤め推進した。このプロジェクトから、ナノ画素ディスプレイ用微小電子源と共振器付き蛍光体、1光子検出超低ノイズイメージセンサなど革新的な成果が得られ、最高ランクの中間評価を得た。
  3. 三村は、2004年以降、採択原著論文49編、国際会議招待講演16件、国内招待講演29件を行い、ナノビジョンサイエンスの概念を世界に普及させ、また、三村は下記の研究成果を得た。
    • 超高精細用ディスプレイの実現を可能にする静電レンズ一体型電界放出微小電子源の開発。
    • 新概念のディスプレイの実現を目指して微小共振器を持つT102球状蛍光体やGaNナノピラー蛍光体の開発。超高精細X線CdTeイメージセンサとして、微小電子源駆動CdTeイメージセンサの提案、原理検証。
    • 微小電子源を用いた小型X線管、真空紫外小型エキシマ光源、スミスパーセル赤外光源の開発。
    • 簡単なプロセスで製作でき安定で高い電子放出を示すグラファイトナノニードル電子源の開発。
    • 0.1mm/minの成長速度を持つ、CNT高速成長技術の開発。
  4. NHK技研から3名の社会人博士課程学生が、また6名の外国人研究者が三村研で学んでいる。さらに、国際会議で3件、国内会議で2件、三村研学生の受賞があった。ナノビジョンサイエンスの国際拠点としての地位を築いた。

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