歴代高柳賞-歴代高柳記念賞

H22年度(2010)高柳記念賞受賞

川人 祥二(かわひと しょうじ)

【 静岡大学電子工学研究所教授 】

撮像素子の高機能化と高性能化における研究

センサ素子と機能回路を1つの半導体集積回路チップ上に構成することで、新機能や従来にない性能を実現する高機能・高性能撮像素子に関して先駆的な成果をあげている。超小型CMOS磁気ロータリェンコーダ(2005年国際固体素子回路会議(ISSCC)にてBeatrice Winner Award受賞)は、撮像の手法を磁気計測に応用して新機能を発現する技術として高く評価されている。また、文部科学省知的クラスター創成事業(第1期:2002~2006年度)において、150dBを越える広いダイナミックレンジをもつ撮像素子、カラム並列型巡回型A/D変換器の発明に基づく高速高分解能撮像素子(3500フレーム/秒、4096階調、国内メーカにおいて商品化)、周期的電荷排出構造を用いた光飛行時間型距離画像センサ等、実用性の高い高機能撮像デバイス群の研究開尭に成功し、その成果に対して2006年度産学官連携功労者表彰・文部科学大臣賞が授与されている。特に開発された巡回型A/D変換器により、カラム並列聖として世界で初めて12ピット(2005年ISSCC)、14ビット(2008年ISSCC)分解能が実現できることを実証している。

第2期知的クラスター創成事業においても、電子増倍型高感度CCDを越える感度を有するCMOS型撮像素子、空間光通信機能を備えた撮像素子(2010年ISSCC)、従来の1/10のノイズを実現した高感度グローバル電子シャック(2010年ISSCC)等、世界最高性能かつ実用性の高い技術が生まれている。グローバル電子シャックを活用した超高感度高速度イメージセンサの関発が、科学技術振興機構の研究成果最適展開支援事業に採択され、株式会社ブルックマンテクノロジ(2006年2月に知的クラスター創成事業の成果活用企業として設立した大学発ベンチャー)と共に製品化が進められている。

以上の通り、LS1のオリンピックとも言われる最高峰の国際会議ISSCCへの多くの採択(総数11件)が裏付ける世界のトップクラスの性能と実用性の高い技術が生まれており、撮像素子分野への顕著な功績が認められる。

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